子育てをしていると、
予定通りにいかない
子供が泣き出したりダダをこね始めた
予想外の行動をしてびっくりした
こうした時どうすればいいの?
今の子育てでいいのか不安
こうしたイライラや悩みが
つきまといますよね。
町中を歩いていても
子どもに対して怒っていたり、
どうしたらいいか悩んでいる
お父さんやお母さんを見かけると
2児の親として
気持ちがすごくわかります!!
もちろん育児する中で、
・子供と過ごす時間が楽しく感じること
・子供の成長を見て幸せに感じること
もあります。
ただ、核家族化や環境の変化、
時代の変化に伴い
毎日のイライラや悩みの割合が
積み重なり、
育児ノイローゼに至ってしまう方が
増えてきています。
育児ノイローゼといっても、
自分には関係ない!
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが
実は、育児ノイローゼになる人の割合は
約2人に1人なんです!
調査結果が少し古いですが、
- 育てする親の約4割の人が
育児ノイローゼや産後うつではないか?と思った経験があると回答
※日本労働研究機構が行った
育児と介護と仕事の両立に関する調査
(平成15年)の結果より - 約5割の母親が育児ノイローゼだ
と感じたことがあると回答
※MMD研究所という調査機関が行った
母親への育児ノイローゼの実態調査
(平成22年)結果より
という結果があります。
つまり、育児ノイローゼは
希な話でなく
身近なことと言えるのです。
今は違っても
これからなるかもしれない・・・
周りの友達がそうなるかもしれない・・
そうした時に備え
育児ノイローゼに関して
知っておくことはとても大事です!
そこで今回は、
・精神科の病院にて10年以上従事
・窓口対応/相談業務など患者様の対応経験豊富
・専門の国家資格あり
と精神科領域での経験が豊富な筆者が
専門的な観点も交え、
- 育児ノイローゼになりやすい人の特徴
- なってしまったらどうすればいい?
- 育児ノイローゼとは?
以上、3つをなるべくわかりやすく
お伝えしたいと思います!
子育て中の皆様は必見です!!
○育児ノイローゼになりやすい人の特徴
育児ノイローゼの原因は
精神的・身体的ストレスが
大きく関わっています。
そして、ストレスを溜めやすい人には
特徴があります。
具体的には
・傷つきやすい人
・心配性な人
・真面目な人
・完全主義の人
・自分に自信のない人
・潔癖の人
・自罰的な人
・依存的な人
・内気で小心な人
・融通のきかない人
・感情的になりやすい人
・自己中心的な人
・引っ込み思案の人
・ママ友がいない
・夫婦で接する時間が短い
・人に弱みを見せたがらない
・ストレス発散が上手でない
※ちなみに神経症、うつ病、適応障害など
精神疾患にかかりやすい方の特徴でもあります
なぜこうした特徴があると
ストレスが溜まりやすいのでしょう?
簡単にストレスを感じる構造を
説明すると・・・
人は、
ある出来事が発生する(①)と、
その出来事を自分なりに受け止め(②)、
対処すること(③)で、
その後の反応(④)が発生しています。
例えば
雨が降るという出来事(①)が
あったとします。
もし自分が今から外出する立場だと
服が汚れるから雨は嫌だな(②)
とほとんどの方は感じるのでないでしょうか?
そして、
出かけることが憂鬱だな
雨なんて降るなよ
とストレスが溜まります(④)。
一見すると、
この
雨が降るという出来事(①)が
人にストレスを与えている(④)
ように見えますが、
実は、ストレスが溜まる仕組みは
もう少し複雑です。
例えば、この出来事に対して
- まぁ今年は、雨が少なくて作物も
育ってないようだから天の恵み
だと思って感謝しよう(②) - この間、見た目がかわいい合羽を
買ったからそれを使おう(③)
ちょうどお披露目する機会に
なったし(②)
と、
その出来事を別の角度から捉えたり
対処すること
で
④のストレスを減らすこともできます。
つまり、ストレスというのは、
出来事そのものが発生させるのではなく
どのように捉えるか(認知的評価)
どのように対処するか(コーピング)
で、その度合いは変化します。
先ほどあげた特徴を持つ人は、
育児中に発生する出来事に対して
・柔軟に捉えることが苦手
・対処する手段が少ない
という傾向が強く
〝ストレスが溜まりやすい
=育児ノイローゼにもなりやすい〟
と言えます。
では、
もし育児ノイローゼになってしまったら
どうすればいいのでしょう?
○育児ノイローゼかも?~最初にすること~
育児ノイローゼの可能性がある方は、
辛いこと、悩んでいることを
一人で抱えていることが多いです。
解消するには
・自分以外の人に子育てに関わってもらう
・相談先を確保すること
がとても大切。
まずは配偶者もしくは自身の家族へSOS!
辛いこと、悩んでいることを相談してください。
自分とは違う視点の人へ相談することで
〝そんなに頑張らなくていいんだ・・〟
〝みんなも同じこと悩んでたんだ・・〟
〝そんな対処法あったんだ!〟
〝もっと周りを頼っていいんだ・・〟
など
・他者からの視点も交えたり、
考え方を柔軟にできる
・自分ができないことも手伝ってもらえ、
対処できる幅が広がる
ことで、自身の負担を大きく減らすことができます。
もちろん、
友人に相談しやすい人がいれば
その方でもOKです!!
家族は遠くに住んでいて
手伝ってもらえない・・・
家族と仲が悪くて頼れない・・・
そうした方もいるかもしれません。
そうした場合は、
自分の住んでいる地区の
「子育て世代包括支援センター」
と調べてみてください。
市区町村で子育てを支援している
保健所、子供家庭支援センターの
情報が出てきます。
こうしたセンターでは、
相談はもちろん、
支援先の情報提供もしてくれます。
行政の相談機関は他にもありますし、
そのほかにも
・ファミリー子育て何でも相談
・エンゼル110番
など法人や企業が行っている相談窓口も
あります。
ただし、
相談や支援を受けても
なかなか症状が改善しない場合は
精神科への受診も検討してみてください。
一過的にでも良いので
・気持ちを落ち着かせる薬
・眠りやすくなる薬
など、薬の力を利用し、
自身の安定を図ることも大切です。
相談、支援を受けながら、
まずは親である自分も
健康になりましょう。
○育児ノイローゼってどういったもの?
ヒステリック
ノイローゼ
などの言葉を
耳にしたことはありますか?
日常的に使用される言葉ですが、
実はこれらは医学の用語が
元になっています。
育児ノイローゼというのも病名として
医学的に判断されたものではなく
あくまで俗称で使われており、
育児困難を抱える親に表れる抑うつ、
不安、イライラ、不眠などの精神症状
という状態像を表してる言葉になります。
診断名であえて表現するとなると
ノイローゼは精神医学用語で「神経衰弱」
を意味することを加味すると
症状に応じて
・神経症(抑うつ神経症/心気症など)
・自律神経失調症
・適応障害
のいずれかに分類されると言えるでしょう。
ではどういった状態だと
育児ノイローゼの可能性があると
言えるのでしょう?
具体的な症状を以下に列挙しました。
<育児ノイローゼの症状>
□ 子供を可愛く思えない
□ 子供の世話をするのが面倒
□ 子供といるとイライラする
□ 意味もなく子供を叱りつけてしまう
□ 子供を産まなければよかったと思う
□ 育児だけでなく、家事もやりたくない
□ 夜眠れず、昼間ボーッとしてしまう
□ 気分が落ち込む、毎日が憂うつ
□ わけもなく悲しくなり、涙が出る
□ 些細なことでもカーッとしてしまう
□ 気力がなく、何事にも興味を感じない
□ 食欲がない、あるいは過食してしまう
□ 外出することや他の人と接することが億劫になる
こうしたことに当てはまる場合は
育児ノイローゼの危険信号が出ています!
自分で気づける方はもちろんですが、
自身でこうした状態になっていることに
気づかない方もいますので、
周りの方も含めてチェックをしてみてください。
育児ノイローゼになる原因
ではなぜ育児ノイローゼになるのでしょう??
原因は大きく分けると3つですが、
この3つは別々のものというより
お互いに関与もしています。
①精神的ストレス
子育てはあらゆる場面で、
親が子に対して
こうしよう、ああしよう、
こうしてほしい、こうなってほしい、
という思いが入ります。
けど
子供は自分のやりたいように
行動し発言をするので
親が思った通りにいかないのが子育てです。
そうした
親の予定や期待が裏切られると
怒りがわいたり、ストレスが溜まりますよね。
またそうしたことが続けば、
どう子供と接すればいいんだろう?
私って親として駄目なんじゃないのか?
という不安、悩みが出たり、
疑念から自己嫌悪に陥ることもあります。
こうした精神的ストレスが一つの原因といえます。
②ホルモンバランスの乱れや不眠など身体的ストレス
産後はホルモンバランスが
乱れている状態になりやすく、
また乳児期は夜泣きなどで
不眠にもなりやすいです。
子供中心の生活をしていると、
生む前の生活習慣から急激に変化し、
自身の体調にも影響がでることがあります。
例えば不眠が続けば脳の機能も低下し、
イライラしやすくなったり、
注意散漫になったりと精神的不調にも繋がります。
こうした身体的変化、身体的ストレスも一つの原因になります。
③環境変化によるストレス
例えば夫婦で一緒に住むとき、
それぞれの生活様式などで
戸惑いませんでしたか?
今までの育ってきた環境が異なる2人が
一緒に住むわけなので、
嗜好も違えば
生活の仕方も違うのは当然で、
ほとんどの夫婦が経験あることだと思います。
子供が生まれても同じことが発生します。
2人の生活から3人へ、
3人 の生活から4人へ・・・
そして増えたその1人は
・意思疎通ができないため、
何を欲しているかがわからない
・親が守らないと生きていけない
という特徴があります。
当然、その子供中心の生活になり、
今までの生活から大きく変化します。
子供ができたことで、
今まで大丈夫だった箇所が
危険な場所になり
予防のため塞いだり柵を設けたりする
ことも出てきます。
今まではこうだったのに・・・
こうした環境や生活の変化は
子育てする親には
大きなストレスに・・
また、
子供につきっきりの生活になると、
自分の時間も持てなかったり、
外出もできず、閉鎖的になりがちです。
厚生労働省が行った
21世紀出生児縦断調査(平成14年)でも
「子どもを育てていて負担に思うこと」に対し、
という回答があり、
子育てする環境自体がストレスになる
とも言えます。
このように、
①~③それぞれ重なることで、
育児ノイローゼに至ると考えられます。